伊勢神宮には、神馬と呼ばれる「特別な馬」がいることをご存知ですか。
いつも境内にいるわけではないので、御厩(馬小屋)で会えるかどうかは運次第。
一方、毎月決まった日時に行われる神馬牽参(神馬の参拝儀式)では、時間と場所を押さえれば高確率で神馬を見ることができます。
この記事では、内宮・外宮それぞれにいる神馬の特徴に加え、実際に私が神馬牽参を見てきた体験をもとに、神馬が見られる場所と時間を具体的に解説します。
神馬の紹介
神馬はいつ、どこで見られるの?
伊勢神宮には内宮に2頭、外宮に2頭、合わせて4頭の神馬がいます。
神馬とは、神様がお乗りになる神聖な馬のことで、いずれも皇室から奉納された特別な存在です。
内宮・外宮それぞれで毎月1日・11日・21日の朝8時頃、神馬が正宮へ参拝する神馬牽参を見ることができます。
天候や神馬の体調によって中止されることもありますが、このタイミングで参拝すれば、神馬に会える可能性は高いです。
それ以外は「御厩(馬小屋)に居ればラッキー」です。
どんな馬がいるの?
2026年1月時点で内宮で飼養されているのは、本勇号(栗毛)と草新号(鹿毛)という茶色の馬。

馬の寿命は20~30歳と言われていますので、現在25歳の草新号はかなり高齢馬となります。
そのため内宮の神馬牽参は、本勇号が務めることが多いようです。
2頭とも茶色い馬ですが、「鼻筋の白い馬」が本勇号と覚えておくとわかりやすいです。
そして外宮には笑智号(芦毛)と草音号(芦毛)という、2頭の白い馬がいます。

草音号も25歳の高齢馬で、神馬牽参は主に笑智号が務めています。
現在の神馬は内宮が茶色の馬2頭、外宮が白色の馬2頭となっているので、毛色の決まりがあるのかと思い、平成以降の「歴代の神馬」を調べてみました。

神馬は内宮・外宮に各2頭ずつで、退落(死亡)したら新しい馬が皇室から奉納されることになってるよ
▼歴代の神馬▼
| 内宮① | 内宮② | 外宮① | 外宮② |
|---|---|---|---|
晴勇号/芦毛![]() 奉納 2004年 退落 2011年 | ? | 桜澤号/芦毛![]() 奉納 ? 退落 2008年 | ? |
空勇号/芦毛![]() 奉納 2011年 退落 2018年 | 国春号/鹿毛![]() 奉納 2010年 退落 2023年 | 路新号/栗毛![]() 奉納 2008年 退落 2010年 | 丘昭号/芦毛![]() 奉納 1998年 退落 2008年 |
草新号/鹿毛![]() 奉納 2018年 <現役> | 本勇号/栗毛![]() 奉納 2024年 <現役> | 笑智号/芦毛![]() 奉納 2011年 <現役> | 草音号/芦毛![]() 奉納 2008年 <現役> |
こうして見ると、特に毛色の決まりはなさそうです。
神馬たちは宮内庁御料牧場出身で、名前は皇室の「歌会始のお題」が由来になっているのだとか。
例えば2015年生まれの本勇号は、その年の歌会始のお題が「本」でした。

内宮の「草新号」と外宮の「草音号」は、生まれ年と「草」が共通していたので兄弟かと思いましたが、そのような名付けの由来だったのかと納得しました。
ちなみに馬が一度に出産する頭数は1頭で、双子が生まれることはかなり珍しいそうです。
【体験レポ】伊勢神宮 外宮の神馬牽参
内宮or外宮 どちらで見るのがおすすめ?

神馬牽参は毎月1日、11日、21日の朝8時頃に、神馬が正宮をお参りする儀式だよ。内宮・外宮の両方で見学できるよ
内宮か外宮、どちらで見ようか考えた結果、外宮で見ることに決めました。
外宮を選んだ理由はこの2つ。
【1】お伊勢参りの正式な参拝、外宮→内宮の順番に回りたかった。内宮で見るためには、朝7時に外宮参拝を終える必要があり(つまり朝4時に自宅出発)、スケジュール的に難しかった
【2】人混みが苦手なので、外宮の方が落ち着いて見られると思った
当日は朝5時に自宅を出発し、7:30頃に外宮へ到着しました。
この日は2月1日の日曜日。
毎月1日は朔日参りで参拝者が増える上、赤福の朔日餅の販売日でもあり、さらには日曜日と重なるという、混雑の条件が三拍子そろった日でした。
「人混みを避けたい方」や「白い神馬を見たい方」は、外宮での神馬牽参がおすすめです。
朔日参りの駐車場状況
車で伊勢神宮へ行く場合、気になるのが駐車場。
伊勢神宮の直営駐車場はたくさんあるのですが、朔日参りの日はあっという間に満車になってしまいます。
そこで駐車場の空き状況がリアルタイムでわかる、「らくらく伊勢もうで」というサイトを活用しました。
私が訪れた2/1(日)、朝6:40の時点では、内宮の駐車場はすべて満車になっていました。
※B5・B6は7:00から入庫可能

なんなら3時台でA駐車場はすでに「満車」、B1~4は「満車/混雑」となっていました。
そのくらい、朔日参りは本気で混みます。
内宮の駐車場はかなりの激戦区ですが、外宮はというと…

私が到着した7:30の時点ではすべて「空車」になっており、スムーズに駐車できました。
ちなみに駐車料金は内宮が有料、外宮は無料となっています。
朝の外宮参拝の様子
外宮へ到着し、まずは正宮へ向かいました。
境内の人出は少なめでした。

外宮に祀られている神様は、豊受大御神という女神様だよ。天照大御神のお食事係で、五穀豊穣の守り神でもあるよ


境内で放し飼いにされているニワトリ、神鶏に遭遇することができました。

7:50に正宮へ到着すると、神馬牽参を待つ人たちが20-30人並んでいました。

神馬が正宮へやって来るのは8:15頃と予想していたので、時間までは別宮でお参りすることに。
まずは豊受大御神の荒御魂が祀られている多賀宮へ。


荒御魂とは、神様の荒々しく活発に働く力のことだよ。その対となるのが、穏やかな恵みをもたらす和御魂だよ
そして多賀宮の近くにある土宮と風宮で参拝。


ついに神馬登場!
参拝を終え、8:00に正宮前へ戻ってきました。
この頃には神馬を待つ人たちが先ほどの3倍に増え、御敷地の辺りまで人が並んでいました。
みなさん石のラインに沿って静かに並び、そのマナーの良い光景に「さすが日本人だな」と誇らしく感じました。


御敷地は正宮の隣にある土地で、次の式年遷宮では、こちらに新しい正宮が建てられるよ。別名 古殿地とも言うよ
8時過ぎに警備の方が通行規制を始めました。

そして8:17、ついに神馬「笑智号」が登場!

穏やかで品位のある雰囲気を感じました。
正宮まで行くと鳥居の前で立ち止まり、

ぺこりと礼をしました。

参拝自体は1-2分ほどで、その後は境内を歩いて、8:25頃に御厩へ戻って行きました。
実際に神馬牽参へ行ってみてわかったことは、「神馬が参拝する姿」をしっかり見たい場合は、正宮近くで待機する必要があるということ。
「とりあえず神馬の姿を見たい」という場合は、8:15〜8:20頃に神楽殿(御朱印やお守りを授与している場所)で待っていれば見られそう、という印象でした。
内宮でも神馬に会えました
午前中の内宮の混雑状況
外宮で神馬牽参を見た後は、内宮へ向かいました。
朔日参りの日曜日、9時過ぎの内宮駐車場はこんな状況でした。

やったーー!狙ってたB5駐車場が空いてる!
B5・B6は五十鈴川沿いにある広い駐車場で、B5の方が内宮に少しだけ近いです。
9:30に駐車し、おかげ横丁方面へ川沿いを歩いて行きます。

おかげ横丁を通って、9:45に内宮の宇治橋へ到着しました。

外宮の落ち着いた雰囲気から一変、内宮は人・人・人で溢れていました。

伊勢神宮は好きなのですが、あまりにも人が多く、聖域でありながら俗世的な空気を感じてしまうため、あまり訪れていませんでした。
今回も神馬牽参が目的だったので、外宮だけの参拝にしようかと思ったのですが、せっかく伊勢まで来たので内宮も寄らせていただきました。

正宮の御扉の前に掛けられた白い布(御帳)は、参拝中にふわりとめくれ上がると、神様が歓迎しているサインなのだとか。
期待しながら参拝すると――
“ふわり”どころではなく、大きくめくれ上がり続け、奥がはっきり見えるほどでした!
しかし順番待ちをしている時から、ビュービューと風が吹いていたので、おそらくただの天候による「強風」かなと思います。笑
正宮の後は荒祭宮へ向かいました。

こちらには、天照大御神の荒御魂が祀られています。
観光で訪れる方は正宮のみ参拝されることが多いため、荒祭宮まで足を運んでいるのは、参拝を大切にされている方が多いのだろうと感じました。
こちらも行列はできていましたが、どこか俗世的な空気が和らぎ、落ち着いた雰囲気が心地よく感じられました。
神楽殿へ御朱印をいただきに行くと、向かいに本勇号の御厩がありました。

外宮の御厩は1箇所だけで、2頭の神馬が一緒に入れる造りでしたが、内宮では1頭ずつ入る御厩が2箇所という個室タイプでした。
「さすがにこの時間に神馬はいないね」
と思っていたところ、参集殿(休憩所)の前にある、もう一つの御厩に人だかりができていました。

こちらは高齢の草新号の御厩だし、まさか居るはず――

いました!!!
この日の内宮の神馬牽参は本勇号が務めていたようですが、思ってもいないタイミングで草新号に出会えました。

神馬2頭と神鶏1羽を見ることができ、とても充実した朔日参りとなりました。


